悠香の小麦アレルギー事件は、使用者が小麦に対してアナフィラキシー症状が出たことが国民生活センターに報告されたことからはじまりました。
パスタ・うどん・醤油など小麦が使用されている身近な小麦食品を一切食べることができなかった被害者の方が訴訟運動を引き起こし“茶のしずく”が引き起こした小麦アレルギー事件は大きくニュースに取り上げられたので記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?

 


悠香の茶のしずく事件から、どの通販洗顔料も安全性に問題があるのではないかと疑ってしまいます。
やはり通販コスメではなく、大手コスメメーカーが発売している洗顔料の方が安心なのでしょうか?

 


私自身、まさか美肌を作るための美容アイテムが重大な肌トラブルやアレルギーを起こす原因になるとは思ったこともなくショッキングな出来事だったので鮮明な記憶として残っています。
その後も大手コスメメーカーであるカネボウの基礎化粧品が白斑事件(※)を起こすなど、「大手メーカーだから大丈夫」という意識も覆り、今は自分自身で配合成分をチェックしなければならないと考えています。

 

※カネボウの発売していた美白ケア用基礎化粧品に配合されていた“ロドデノール”という強力な美白剤が肌の一部を白く変色させる“白斑”を引き起こしました。

 

 

なぜ悠香の“茶のしずく”だけが、小麦アレルギーの原因になったのか?

無農薬栽培の茶葉を使用し、各種ビタミンが配合されていてエイジング効果が高くて様々な肌質別ランキングで人気を集めていた株式会社悠香の“茶のしずく”。
茶のしずくによりアレルギーが発症したとされる原因、“加水分解コムギ”(別称:小麦加水分解物や加水分解コムギタンパク)は、今現在も洗顔石けんや化粧水、シャンプーなど多くのスキンケアアイテムに利用されている成分です。
ではなぜ、「茶のしずく」だけに小麦アレルギー問題が浮上したのでしょうか?

 

悠香だけが小麦アレルギーを発症させてしまった答えは、加水分解コムギの「分子量」にありました。
通常、加水分解コムギをスキンケアアイテムとして使用する場合、分子量が「1,000以下」のものを使用しなければなりません。
しかし、株式会社悠香の茶のしずくに使用されていた加水分解コムギは、分子量が「50,000~60,000」というかなり大きいものを配合していました。
なぜなら、茶のしずくの“弾力もっちり泡”を作り出すには、その規定より大きな加水分解コムギを使用しなければならなかったのです…。

 

使用感と肌へのダメージを軽減するために行った対策が小麦アレルギーの原因になったと、なんとも皮肉な話です。
もし、茶のしずくのようなトラブルを心配するなら、パッケージにある成分詳細情報をメーカーに問い合わせてみることをおすすめします。

 

 

洗顔料に配合されることが多い、気をつけたいアレルギー関連成分

 

エタノール

エタノールが配合されているアイテムには、制菌作用・収れん作用・清涼作用という特徴があります。
そのため、お肌の引き締め効果や、さっぱり感のある仕上がりを求めてエタノール配合のものを使用している人も多いでしょう。

 

ただ、エタノールはアレルギー物質に対して過剰に反応してしまいます。
その結果、軽度であれば“赤い湿疹がポツポツと出る”、“痒みがある”といった症状のみで済みますが、もし重度となってしまうと“皮膚がかぶれる”“皮が剥ける”といった症状が出てしまいます。

 

また、エタノールは揮発性(液体が気体になりやすい)が強いので“さっぱり感”を演出できるのですが、デメリットとしてエタノールが周囲の水分を巻き込んで蒸発させるためお肌も乾燥させてしまう性質もあります。
もちろん、エタノールが配合されている洗顔料を使用した後に、きちんと保湿ケアをすれば、蒸発した水分を補うことは可能です。

 

とはいえ上記の観点から、お肌へのダメージを考えると、エタノールの配合量は10%未満のものを選ぶと安心できるでしょう。

 

エッセンシャルオイル

天然由来成分のリラックス効果や美容効果として注目されているエッセンシャルオイル(アロマ精油)。
天然由来成分なのでお肌に負担が少ない美肌成分で安心というイメージがありますが、植物アレルギーを持っている人は、その使用に注意が必要です。

 

とは言え、アレルギーや皮膚科医の受診経験がなければ、自分が植物アレルギーも持っていてもその正体については気付いていないこともあります。
もし、気になるアロマ成分が配合されている洗顔石鹸の利用を考えているのなら、パッチテストをしてからの使用がおすすめです。

 

【パッチテストの手順】
1.使用する洗顔料を、二の腕の内側2cmほど塗ります。
2.20~30分放置しましょう。

 

上記のパッチテストをすると、アレルギー原因物質が配合されていると20分ほどで反応が出ます。
なお、アレルギーの反応には個人差があります。
上記パッチテストをして大丈夫だったのに、その洗顔料を使用するとアレルギーに似た症状が出るという場合は、パッチテストの時間を48時間(二日間)にして様子を見てください。

 

なお、エッセンシャルオイル配合の洗顔料の場合、その香りをよりよくするために化学物質が混合されている場合もあります。
その場合には、アロマ精油ではなく化学物質からのアレルギー要因も疑ってみる必要があるでしょう。

 

※アレルギー反応とは、“赤みや痒みが出る”、“腫れる”、“痛くなる”、“水ぶくれができる”、といった症状です。
いずれにしても、パッチテストをしてお肌への安全性を確認してからの使用をおすすめします。

 

パラベン

多くの基礎化粧品・メイクアイテムの殺菌防腐成分として、長年配合されてきている化学成分“パラベン”です。
今現在も多くのスキンケアアイテムで配合されていますが、自然派思考が高まった最近では“パラベンを使用するとアレルギーを発症してしまう”という意見が定着してきました。

 

確かに1,000人に3人程度の割合で、パラベンアレルギーの人が出現するという報告があります。
しかし、厚生労働省から決められた配合量以内であれば人体に影響なしとされているので、今現在パラベンアレルギーを発症していなければ、それほど神経質にならなくても良いでしょう。

 

配合量の目安ですが、スキンケア商品のパッケージにある成分一覧表は配合量が大きい順に記載されています。
ですので、パラベンが後ろのほうに記載されていれば、そのスキンケアアイテムのパラベン量は妥当だと判断できるでしょう。

 

 

洗顔料でアレルギーを発症することは“ありえる”こと

洗顔料は、毎日の洗顔で使うスキンケアアイテムですが、だからといってアレルギーを発症することはありえるのでしょうか?
その答えは“茶のしずく 小麦アレルギー事件”の事例がある通り、答えは「Yes」となります。

 

というのも、洗顔後に石けん成分の洗い流しが、お肌の表面に残ってしまうことがあるかもしれません。
その場合は、残留した石けん成分が粘膜やお肌の内部に吸収されていきます。
もちろん、洗顔後にお肌をしっかり洗い流してそんな心配は不要という人もいるでしょうが、その場合も洗顔を行っているときに石けん成分が目や鼻の粘膜から吸収されてしまいます。
このように少量ずつでも体内に吸収されてしまった成分が原因となって、アレルギーを発症する可能性はゼロであるということは断言できません

 

中には「天然由来成分100%、しかも完全無添加石鹸なら安心。」と思われている人もいるでしょう。
しかし、私たちの身近で“安全”と言われている成分もアレルギーの反応物質になり得るので、いくら天然由来成分100%で完全無添加石鹸だからとアレルギーの心配がないとは言えないのです。

 

 

 

もし、毎日同じように使用していて、今までになかった刺激やお肌の乾燥を感じるようになったら、アレルギーが出現する前兆かもしれないので、すぐに使用を中止してメーカーに問い合わせるか皮膚科を受診しましょう。