弱酸性洗顔フォームは低刺激?肌負担が大きい?どっちなの?!

 

スキンケアアイテムの購入をするとき、「弱酸性は肌にやさしい」と弱酸性のスキンケアアイテムを選ばれている方が多いですが、それはどうしてでしょうか?

 

ここでは、弱酸性の洗顔フォームと弱アルカリ性の洗顔石鹸のメリット、デメリット、肌質によってどちらを選ぶべきかを紹介します。

 

洗顔フォームと洗顔石鹸の違い

洗顔石鹸は天然界面活性剤、洗顔フォームは合成界面活性剤

 

洗顔石鹸と洗顔フォームは、見た目やテクスチャーの違いに大きな違いがあると思われがちですが、実は配合されている成分で分類されます。

 

洗顔石鹸の洗浄成分は、植物性や動物性の脂肪酸に水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを化学反応(けん化)させた天然界面活性剤(石けん素地)を使用しているのに対し、洗顔フォームでは化学化合物質の合成界面活性剤を使用されているというのが、洗顔石鹸と洗顔フォームの違い。

(配合成分によっては洗顔フォームの形状でも洗顔石鹸ということも。)

 

一般的に合成界面活性剤は天然界面活性剤よりも刺激が強いとされていることから、洗顔石鹸よりも洗顔フォームの方が刺激は強いといわれています。

 

 

 

洗顔石鹸がよくない理由

合成界面活性剤を配合しているかに注目すれば、配合している洗顔フォームの方が肌に悪そう…。

ですが、インターネットで洗顔フォームと洗顔石鹸のどちらを使用しているのかをアンケート調査したところ、「洗顔フォーム!」と回答した人のほうが多い結果となりました。

 

そこで、洗顔石鹸が「よくない」(洗顔フォームの方がよい)とネットで囁かれている理由をお伝えします。

 

洗顔石鹸は「つっぱる」からよくない!

皮脂膜で肌が守られている状態

 

洗顔石鹸で洗顔すると、肌の汚れをしっかり落としてくれるので毛穴ケアやニキビケアにもおすすめです。

洗い上がりはさっぱり、肌もツルツルになり、なんともいえず気持ちいいですよね?

 

けど同時に、お肌がつっぱった感じになるのを経験したことはありませんか?

洗顔石鹸がよくない理由として一番多く挙げられる意見は、洗顔石鹸特有の「つっぱり」感でしょう。

 

つっぱった肌はパリパリするので、さらに肌が乾燥してしまったかのように感じます。

このつっぱり感には、おおまかに2つの理由があるのをご存知ですか?

 

肌が「つっぱる」ひとつ目の理由は、洗顔によって皮脂が洗い落とされたから

 

洗顔できちんと肌汚れが落ちると、お肌の一番表面にある皮脂膜(※)も取り除かれるため、乾燥して肌がつっぱります。

※皮脂と汗が混ざったもので、“天然のクリーム”とも言われ、若干ですが肌を保護するバリア機能の役割を果たす。

 

じゃあ、しっとり系の洗顔フォームならつっぱらない?

 

たしかに、洗顔フォームは洗顔石鹸に比べて洗顔後のつっぱり感がありません

それは、合成界面活性剤のヌルヌルとした感触によって、本来あるはずのつっぱり感がごまかされているから。

洗顔後に肌がしっとりと仕上がるため気づきにくいですが、洗顔フォームを使った洗顔でも肌は乾燥しています。

 

洗顔したことによるつっぱり感(乾燥)は肌が皮脂を分泌し、その皮脂が肌に充分に馴染むまで続きますが、長くても30分ほどでおさまるでしょう。

 

洗顔石鹸の場合、石鹸カスもつっぱり感の原因になります。

 

肌が「つっぱる」ふたつ目の理由は、石鹸成分によるもの

といっても、お肌に刺激を与えるような成分が原因になっているわけではありません。

 

洗顔フォームと洗顔石鹸の違い」で説明したとおり、洗顔石鹸には植物性や動物性の脂肪酸が使用されています。

この脂肪酸と水道水の中の金属イオンが反応すると皮膚の上で金属石鹸(いわゆる石鹸カス)が形成せれ、独特のつっぱり感となるのです。

 

肌に残った石鹸カスは、肌が自力でアルカリ性から酸性に戻る中和能力と、肌の常在菌により分解されるので徐々に消えていくのと共に、肌のつっぱり感も自然に消えていくでしょう。

中和能は私たちの肌がもともと持っている力であり、定期的に働かせることで肌が活性化するとも言われているため、「つっぱり感=よくない」とは一概には言えません。

(もちろん、添加物などが原因でつっぱり感がでている可能性もあります。)

 

洗顔石鹸で洗顔した場合のつっぱり感についてまとめると、

 

・つっぱり感は自然な現象

・つっぱり感はいずれおさまるもの

・石鹸カスによるつっぱり感は、肌を活性化させる作用がある

 

ということになり、洗顔石鹸の「つっぱり感」は肌にとってプラスになる要因のように思えますね?

 

洗顔後に注意すべきつっぱり感は3つ!

 

とはいえ…。

洗顔石鹸によるつっぱり感の全てが、肌にいいものというわけではありません。

というのも、中には気を付けなければならないつっぱり感もあるからです。

 

・つっぱり感と合わせて、ピリピリ、チクチクするような刺激を感じる。

・つっぱり感があまりにも強く、顔が引きつったように感じる。

・化粧水や乳液、クリームなどをすぐにつけなくてはとても耐えられないような、痛みを伴うつっぱりを感じる。

 

上記3つのポイントに当てはまるようなつっぱり感は、肌にとって刺激となるよくないケースです。

乾燥肌、敏感肌などの肌質にもよりますが、普通肌や脂性肌の人でもこのようなつっぱり感を得ることは珍しくありません。

 

たとえば、肌が紫外線などのダメージを受けているときや、ニキビや酷い肌荒れといった肌トラブルを抱えているときなど。

今までは問題なく使えていた洗顔石鹸なのに急につっぱり感が悪化するということも少なくなく、こうした場合は肌が弱っている可能性があるので、肌が回復するまでは弱酸性の洗顔フォームを使用するか水洗顔をするほうが好ましいかもしれません。

(ただし、洗顔料を変えたタイミングの場合は肌に合っていないことが考えられるので、元の洗顔料に戻すか、別の洗顔料を試しましょう。)

 

 

洗顔石鹸は「落ちすぎる」からよくない!

洗浄力が強いと、「必要な皮脂」と「常在菌」を洗い流してしまう。

 

「洗顔石鹸は、天然の界面活性剤だから刺激が少なくて肌に優しい。」

多くの方が持っているこの考え方、実は“石鹸の現実”とは異なる場合もあります。

 

石鹸(石けん素地)は弱酸性の脂肪酸と強アルカリの金属塩が反応してできた、弱アルカリ性の界面活性剤。

反して、お肌を保護する皮脂膜は弱酸性です。

弱アルカリ性の洗顔石鹸で洗浄すると、中和反応が起きて皮脂膜はそれを構成する皮脂もろとも洗い流してしまう可能性があります。

 

また、人の皮膚に生息して、他の細菌などから肌を守りトラブルを遠ざけてくれる常在菌は、弱酸性の環境下でこそ生きられるもの。

弱アルカリ性の洗顔石鹸で洗浄すれば、この常在菌も洗い流してしまうでしょう。

 

このように、洗顔石鹸といえば「洗浄力がマイルド(肌に優しい)」というイメージがあるかもしれませんが、実は「必要なものまで落とし過ぎてしまう強力な洗浄力」を持ち合わせている可能性があるのです。

 

もちろん石鹸素地の材料となる脂肪酸によって洗浄力は異なりますが、「洗浄力は弱めの洗顔料を選びたい。」と考えているのなら、弱酸性の洗顔フォームを選ぶとよいかもしれません。

 

ラウリル硫酸やラウレス硫酸などの洗浄力が「強い」とされる合成界面活性剤と、同等の洗浄力をもつ洗顔石鹸もあります。

 

洗顔石鹸は「タンパク質変性作用がある」からよくない!

アミノ酸系界面活性剤はタンパク質変性作用が弱い。

 

「合成界面活性剤配合の洗顔フォームよりは安全性があって刺激も少ないはず…。」と思われている方も多いでしょう。

 

一部では「合成界面活性剤にはタンパク質変成作用があり、石鹸(天然の界面活性剤)にはその作用がない。だから洗顔石鹸は刺激が少なく、洗顔フォームは刺激が強い。」と言われていますが、残念ながらこれは誤解です。

 

石鹸全般(純石鹸を含む)にも、タンパク質変性作用はあります。

石鹸の泡が目に入った時や傷口に触れたとき、痛みを感じると思いますが、それがなによりもの証拠。

私たちの体を構成しているタンパク質が石鹸素地(界面活性剤)で変性し、それが痛みという刺激になって表れているのです。

これは、たとえ石鹸に肌に優しい天然由来の美容成分であるとか保湿成分などが配合されていたとしても、変わりません。

 

そもそもタンパク質変性作用はph値が酸性からアルカリ性(またはその逆)に変わってしまうことでも起きるので、洗顔石鹸(アルカリ性)よりも弱酸性洗顔フォームの方が、タンパク質変性作用による刺激は弱いと言えるでしょう。

 

洗顔石鹸は「高い!」からよくない

その美容成分、本当に洗顔石鹸に必要ですか?

 

もうひとつ、「洗顔石鹸がよくない」と避けられている理由を挙げるなら、それは“価格”です。

といっても、洗顔石鹸も洗顔フォームも、値段だけ見れば非常に安価なものから手が出ないほど高価なものまでその価格帯は幅広く、洗顔石鹸が特別高価というわけではありません。

(とくに、固形の石鹸にはプチプラなものがたくさんあります。)

 

ただし、それは品質を選ばなければという話。

安価な洗顔石鹸は大量生産が可能な製法(機械練り製法)で作られており、配合成分がシンプルで、だからこそ純粋に洗浄力のみに特化している傾向にあります。

それでは前項の「洗顔石鹸は「落ちすぎる」からよくない!」で説明したように、洗浄力の強い石鹸は肌汚れをしっかり落としてくれるものの、肌にとって刺激となる可能性があるでしょう。

 

そこで、肌にやさしい洗顔石鹸は、肌への刺激を考慮して保湿成分や美肌成分、原価の高い天然成分を添加するのですが、それでは価格(生産コスト)が高くなって販売価格も高くなるというわけなのです。

 

実際、当サイトで紹介しているアイテムも、洗顔フォームは2,000円前後なのに対し、洗顔石鹸だと3,000円を超えるものもあります。

製法や配合美容成分へのこだわりで価格が高くなるのは仕方のないことですが、「肌の汚れ(=不純物)を落とす」ことが目的の洗顔石鹸は、たとえ高額な美容成分が配合されていようと汚れと一緒に洗い流してしまうことも考えられるため、せっかく高額な洗顔石鹸を購入してもメリットになるかは断言できないのです。

(美容成分の中には洗顔石鹸に配合したいものもあれば、洗顔石鹸ではなく化粧水などの基礎化粧品に配合するべき成分もあります。)

 

 

どうして弱酸性になるの?

添加物を加えて、弱アルカリ性を弱酸性に変えている

 

一般的な石けんの洗浄成分は、植物油や動物油から抽出される脂肪酸を原料に作られた“石けん素地

そして、弱酸性の洗顔フォームは、その石けん成分にアミノ酸系界面活性剤やグルタミン酸ソーダなどの添加物を加えることで作り出されます。

 

肌質によっては、アルカリ性石鹸は「洗浄力が強すぎる」ので肌によくないといわれていますが、弱酸性にすることで洗浄力はマイルドになり、強い洗浄力で肌負担をかける心配は軽減するでしょう。

 

とはいえ、弱酸性にするために合成界面活性剤を配合しているわけですから「肌への影響が心配!」という方もいるかもしれません。

たしかに合成界面活性剤は肌に残りやすく、残った成分が少しずつ肌に侵食して角質層にダメージを与えてしまうことも考えられます。

 

そこでおすすめなのが、弱酸性洗顔フォームを使用するなら、肌に負担が少ないアミノ酸系界面活性剤を選ぶこと。

アミノ酸系界面活性剤は、油になじむ親油基と水になじむ親水基の間にアミノ酸が入り込んだ成分です。

もともとアミノ酸自体が人の身体を構成している成分のひとつだと考えれば、肌に優しいというのも納得いただけるのではないでしょうか。

 

アミノ酸系界面活性剤のメリットとして、以下のようなものが報告されています。

・気泡作用が優れているので、キメ細かい弾力泡を作りやすい。

・高い洗浄力。

・皮膚を形成する(アミノ酸、NMF、コレステロール、セラミド)を溶かさない。

・低刺激なので目に入って痛みが少ない。

・合成界面活性剤の中でも肌に残りにくい。

・石けんカスがでにくく、つっぱり感が少ない。

 

 

弱酸性洗顔フォームのデメリット

洗浄力が弱くて充分に肌汚れを落とせないことがあります。

 

「肌に優しい」とされている弱酸性ですが、汚れを落とすのが目的の洗顔で弱酸性洗顔フォームを使ってしまうと、肌汚れが残ってしまうことはないのでしょうか?

まさにこの点が、弱酸性洗顔フォームのデメリットと言えるかもしれません。

 

弱酸性洗顔フォームの洗浄力は、アルカリ性のものと比べるとどうしても劣るので、古い角質や皮脂が落としきれないといわれています。

また、弱酸性洗顔フォームでは洗顔の際に毛穴が十分に開かず、毛穴の奥底の汚れまでしっかり取り除けないというのも、検証サイトなどでよく見かけられる意見です。

 

いくらクレンジング+洗顔料のダブル洗顔をしたとしても、メイクの油汚れは残りやすいので、肌に残った油分が酸化して結果的に肌老化につながるという可能性も考えられるでしょう。

 

上記の内容は、アミノ酸系界面活性剤を配合した洗顔フォームを想定しています。

中には洗浄力が強い合成界面活性剤もあるので、すべての弱酸性洗顔フォームの洗浄力が弱いということではありません。

 

「弱酸性=しっとり」ではない!

油分を使用したしっとり感は、洗顔には不要です。

 

「弱酸性洗顔フォームを使ったら肌がしっとりした」という口コミもよく見られる内容です。

 

弱酸性洗顔フォームには、「どうして弱酸性になるの?」で紹介したとおり、洗浄力による肌負担を軽くするために合成界面活性剤が配合されています。

ただし、これだけでは洗顔後の“しっとり感”は演出されません。

 

弱酸性洗顔フォームがしっとりしているのは、その商品に肌のうるおいを保つため油分や保湿剤を配合しているからです。

保湿力の高いクリームタイプの洗顔フォームだと、保湿のために油分が30%以上も配合されていることも…。

 

「洗い上がりがしっとりしている」のがその30%以上も配合された油分によるものなら注意が必要。

場合によっては肌の水分と油分のバランスを壊す可能性が考えられますし、油膜となって肌表面を覆っていれば洗顔後のスキンケア成分の浸透を妨げることになるでしょう。

 

洗顔後はスキンケアで肌の保湿ケアをするので、油分による“しっとり感”を求める必要はありません。

もちろん「乾燥する」よりは「うるおいをキープ」できる洗顔は理想ですが、それは次のスキンケアを邪魔しない成分によることが大前提。

“しっとりタイプ”を使用したいときは、どのような保湿成分が使われているかパッケージの成分表示を確認してみましょう。

 

 

弱酸性洗顔フォームを選ぶべき肌質

皮膚バリアが低下して、超敏感になっているとき!

 

肌汚れをきれいに落とすには、弱アルカリ性の石鹸のほうが優れています。

しかし、肌質によっては弱アルカリ性石鹸だと洗浄力が強すぎて、肌汚れだけでなく皮脂をも洗い流して肌バリアを壊してしまう可能性も考えられるでしょう。

(とくに石鹸素地のみで作られた“純石鹸”は、洗浄成分のみなので洗浄力が強すぎるといわれています。)

 

では、どのような肌質のときに弱酸性洗顔フォームを選ぶべきなのでしょうか?

それは、肌ダメージが大きく、とても敏感になっている場合です。

 

たとえば乾燥肌や敏感肌で、洗顔をするときにピリッとした痛みを伴うほどの肌荒れが進行していたり、洗顔後に肌が赤らんでしまう場合。

こういうときは肌への刺激を考慮して、弱酸性の洗顔フォームを使うほうがよいかもしれません。

 

ただし弱酸性洗顔フォームで洗顔をして肌ダメージが回復してきたら、アルカリ性の洗顔石鹸を使うことをおすすめします。

 

肌に優しいということで人気を集めている弱酸性の洗顔フォームですが、必ずしもそうとは限らないことをまず知ってください。

「肌のことを思って使ってみたら、実は肌に悪影響を及ぼす成分が入っていた…。」というのが後からわかったらショックですよね?

しっかり配合成分をチェックすれば、自分の肌質にベストな洗顔料を見つけることができるでしょう。